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 デオサイ高原の旅

   Deosai plate (1990/9)

deosai map
デオサイ高原地図
カシミールというインド国境の至近に位置する。

この旅はひょんなことから始まった。
元々スカルドゥに来たのはフーシェ谷へトレッキングに行くことが目的であった。しかし出発しようとしたその日、スカルドゥからハプルーへのバスは金曜日(イスラムの休日)でストップ。
どうしようか考えているときに、ダラムサラ(インド)に住んでいる日本人のKさんが、「スカルドゥの南にデオサイ高原があって、ちょっと高いところに登ると、東北方面のK2、ブロードピークのカラコルム山脈から、西にはナンガパルバットまで一望できる場所があるよ。」とささやくように教えてくれた。
「一望」という響きにあこがれ、詳しい地図も無いまま、即決で出発することに決めた。

9/14
さっそく米1Kg、お茶の葉200g、パウダーミルク1缶、パン1斤と適当に主食だけ買い込んだ。(後で大変なことになったのだが)
計画は3日位でスカルドゥに戻ってくることだけ。
話によると、デオサイ高原途中のサトパラ湖まで2〜3時間(歩き)位とのこと。今日はそこまで目標で出発する。明日からは未定。
8時30分位に出発。途中トラクターを2回ヒッチハイクして10時30分にはサトパラ湖に到着。良さそうなテント場が無いので、そこから更に1時間くらい歩いてサトパラ湖南端の草地まで行く。

satopala lake
サトパラ湖 この上流がデオサイ高原となる

まだまだ昼の12:00。何もすることがなく本を読んだり、魚釣りを見て贅沢な時間を過ごした。
夕方にパキスタン人のおやじが釣れた魚を2匹くれた。

fisherman
魚をくれたパキスタン人のおやじ

ラッキー! 今晩はパンだけの食事と思っていたら、思わぬメインディッシュ。さっそく小枝を集め、魚を焼いた。味付けの塩は、行きの飛行機でいただいたものが少しあるだけ。食べてみると少しレア。塩が少なく味も薄いが白身でまずまずの味に満足。

fish
もらった魚を焼く、右のザックは風避け。

雨も少し降り始め、今晩はツェルトをかぶってさっさと寝た。


9/15
2日目はいよいよデオサイ高原に入る。
朝食は昨日の残りのパン。
ジープ道を少しづつ登っていく。
途中の橋のたもとで、木こりの3人がちょうどロッティーを焼くところであった。どうにも腹が減ってきたので少しもらえないか聞いたら、気持ちよく2枚もくれた。おまけにラッシーまでくれたが、これは少しナチュラルすぎて口に合わない。
お礼に気持ち分の2Rs渡そうとしたが受け取ってもらえない。
かわりに写真を写させてもらった。


ロッティーを焼いているところ

結局これが昼食になった。(食料が残り米だけになっていたので助かる)11:00位に再出発。
道はどんどん登っていく。
お昼過ぎにバックパッキングを持ったパキスタン人の3人組に追いつく。彼らはデオサイ高原を横切ってアストールまでトレッキングするとのこと。私も計画を変更してアストールまで行くことにした。「一望」計画は挫折。
はじめは山賊の危険もあると警戒し、彼らと少し距離をとって歩いたりしたが、とても感じのいい奴等ですぐに信用した。
夕方にはやっとデオサイ高原らしき高台に到着した。


デオサイ高原 中央下にジープ道が見える 右奥に少しナンガパルバットが見える

私はツェルトしか無くオープンビバークしようとしていたら、彼らがテントでいっしょに寝ようと勧めてくれ、食事もパスタなどを私に分けてくれた。
デオサイ高原は標高4000m位、なだらかな起伏が阿蘇のようだ。よくよく聞いてみるとジープ道がアストールまであるが、インドとの国境に近く、通常は外国人立入禁止区域とのこと。(現在はジープサファリなどで入りやすくなっている。) そういえば、黒いヘリコプターがやたら飛んでいて、「喜んで手を振っていたのはまずかったなあ」と後で後悔。
今晩は暖かいテントの中で熟睡。


パキスタン人と夕食 左からフランゼス、ゴギ、アクラム


9/16
3日目は7:00に出発。朝食では遊牧民からもらった羊の絞り立てミルクをそのまま飲んだ。
高原は延々と続き、歩いても歩いても終わりなさそう。
昼飯は橋のたもとでカレーを作る。3時間もかかってできた代物は芯めしのカレー。16:00近くに再出発したが、なかなか良いテント場が見つからない。
そんな時に4台くらいのジープがスカルドゥ方面からやってきた。荷台にオイルタンクを乗せている。いやがる運転手を何とか丸め込んでヒッチハイク成功。歩いて横断したかった後ろめたさが頭をよぎった。
結局3時間近くジープにしがみついて、真っ暗な中、チリームという始めの村に到着。ここで泊まる。コールマ(鳥肉の煮込んだもの)がうまい。


9/17
4日目。これから先は村が所々あるため食事の心配もいらない。
4人バラバラのマイペースで川沿いの道を歩く。ときどき追い抜くトラクターが乗っていかないか誘ってくれるが丁重に断って歩きを楽しむ。
昼は川で一泳ぎしてくつろぐ。


くつろぐゴギ

夕方遅く、宿のある村に着く。フランゼスが80Rsもする中国のハミウリを買ってきて食べるように勧めてくれた。そういえば昨日も一昨日も全くお金を払っていない。少し申し訳なかったが有り難くいただいた。


9/18
5日目。相変わらず川沿いの道を歩く。多少回りに木も多くなってきた。
この区間は歩いたことだけが印象に残っている。
結局アストールまでたどり着けず、8マイルほど手前の村に泊まる。
昨日食べた肉が悪かったのか体中がかゆくて仕方がない。蕁麻疹だ。
しかし明日はアストール。うまく行けばギルギットまで行ける。


9/19
6日目。2時間くらいでアストールにつくかと思っていたが、よく考えたらキロメートルでなくてマイルだった。がっかりして歩き続ける。
ついに我慢しきれず、トラクターをヒッチハイクしてアストール入り。久しぶりに町らしい町だ。すぐに乗合ジープでKKH(カラコルムハイウェー)を目指す。
3時近くにKKHのジグローに到着。
スズキに乗り換えてギルギットへ。
今晩はギルギットにデポしておいた岩海苔とご飯で贅沢な夕食をとった。
結局K2、ブロードピークは見えなかったけれど、それ以上のものを得た心境であった。


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